令和元年度 京都市立病院 病院指標

当院の一般病棟を退院された患者さんの年齢階級別（10歳刻み）患者数です。
全退院患者数は14,141人で、入院日時点での平均年齢は61.3歳となっています。
総合的な医療を提供しています当院では、幅広い年齢層の患者さんにご利用いただいていますが、70歳以上の患者さんの割合が52％を占めており、医療だけでなく介護への対応も需要が増加しております。
また、地域がん診療連携拠点病院ということもあり、50～59歳の年齢層の患者さんが9％を占めているなど、中高年のがん患者さんも多くなっています。なお、地域周産期母子医療センターでもある当院では、0～9歳の幼児・乳幼児の患者さんが8％を占めています。

現在の社会情勢で重点的な対応を求められている生活習慣病の一つである“がん”、その中でも特に罹患率の高い5大がんに対する当院の対応状況を示しています。

5大がん：胃がん・大腸がん・乳がん・肺がん・肝がん
・『胃がん』、『大腸がん』、『乳がん』、『肺がん』、『肝がん』の５大がんの患者数を、UICC病期分類の初発・再発別に集計したものです。(患者数は、延べ人数となっています。）
・UICC病期分類とは、腫瘍の大きさ・リンパ節の転移の有無・他の臓器や組織への転移の有無という3つの基準を元に、StageⅠ（早期）からⅣ（末期)の4つの病期に分類するものです。
・【初発】とは当院でがんと診断した場合、または当院でがんに対して初回治療を行った症例をいいます。
・【再発】とは初回治療の終了後（他施設での治療を含む）、当院で治療を継続した場合、またはがんの再発・転移が認められた症例をいいます。

「地域がん診療連携拠点病院」である当院は、健診～診断～治療～終末期に至る一連のがん医療を提供しています。
がんの早期発見・がん予防への貢献のために、健診センターでのがん検診・人間ドック・がんに特化したオプション検診を行っています。平成29年度からは、新たに乳がんドックを開始し、定期健診の狭間の期間や若年層で健康診断を希望される患者さんへの対応を行っています。
診断・治療については、手術による外科的治療だけでなく抗がん剤による薬物療法、放射線治療など患者さんに合わせた治療法を選択し総合的に管理しています。また、前立腺がんや腎がん、胃がん・大腸がん・肺がんに対してのロボット手術も行っています。
平成３０年１０月には、がんゲノム連携拠点病院に認定され、遺伝診療を積極的に行える体制を整えました。
また、令和2年からは緩和ケア病棟（14床）を設置し、治療が困難とされたがん患者さんの精神的・身体的苦痛を和らげる緩和ケア治療の体制も整えており、緩和ケア治療の強化を図っております。

入院のきっかけとなった病名及び最も医療資源を投入した傷病名が両方とも肺炎、であって、市中肺炎（入院後発症の肺炎を除く）の患者さんの当院の対応状況を示しています。
日本呼吸器学会、成人市中肺炎診療ガイドライン、肺炎重傷度分類の定義に基づき、入院時の状態から重症度を決定し、重症度ごとに患者数、平均在院日数、平均年齢を示しています。当院では、中等症・重症の患者さんが最も多くなります。また疾病別では、細菌性肺炎や気管支肺炎の患者さんが多くなります。

医療資源を最も投入した傷病名が脳梗塞の患者さんに対しての当院の対応状況を示しています。
脳梗塞治療では迅速に治療を行うことがその後の患者さんのADL（日常生活動作）に大きな影響を与えます。そのため、発症日から「3日以内」と「その他」で分類された患者さんの集計結果を示しています。

当院では、脳神経外科専門医師及び神経内科専門医師が常勤で勤務しており、両科が連携して休日・夜間を含め緊急治療が必要な患者さんを常に受け入れることができる体制を整えています。

また脳梗塞の急性期治療後のリハビリテーションは、早期の社会復帰、脳梗塞の合併症・後遺症を防ぐために非常に重要です。当院では理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による専門的なリハビリテーション医療の提供を行っています。
当院でのリハビリテーションが終了した際、継続的にリハビリテーションを必要とされる患者さんについては回復期リハビリテーションを担う回復期病院を、長期療養が必要な患者さんは療養型病院や介護施設を紹介し、患者さんが継続的な治療を受けられるよう支援しています。また当院では、それらの専門的治療・療養を行う施設と共同で診療計画を策定し、相互に連携して地域全体での総合的な医療の提供に努めています。

※ICD10：疾病の種類を分類するコードで、疾病及び関連保健問題の国際統計分類です。WHO（世界保健機関）によって公表された分類で、死因や疾病の統計、診療記録の管理などに活用されます。

手術や処置等の医療提供に伴い発症する可能性のある重篤な疾患の状況について示しています。
DIC（播種性血管内凝固）：外傷による肝損傷や膵損傷、膵がんや大腸がん、胃がんなど消化器系の大手術後といった要因によって引き起こされる、血液の凝固系に異常をきたす症状
敗血症：感染症に罹患した後、自らの力では防御できない状態となり生命を脅かす臓器障害

上記のような症状が、医療資源を最も投入した病名と入院のきっかけとなった病名が同一かそれ以外で件数を集計しています。
がんの手術を中心として大手術を多く実施する当院では、感染防止の専門の医療スタッフを配置し、感染予防に細心の注意を払っています。また、起こり得る合併症については、事前に患者さんにご説明した上で、手術や処置の施行に同意をいただいています。