看護実践・部署紹介
看護実践
看護実践の指標
~看護ケアの質を評価する指標として、以下の視点を掲げ、看護活動を通し、質改善を継続して実施していく~
【安全の視点】
転倒転落は、要因に応じた対応策の実施が基本的な課題である。リスク評価・回避のための環境整備をはじめとした看護実践、事故発生時の損傷をできるだけ軽減する取り組みや、転倒を繰り返さないためのリスクアセスメントを日々継続して行っています。
転倒転落に関する患者側要因、転倒予防対策の分析・検討には個別への配慮が必要であり、4M5E分析(4つの視点での要因分析から、5つ視点での対応策の検討)を用いて多職種で分析する事で普段見落としている要因及び対策を抽出しています。看護師だけでなく多職種で協働することで、あらゆる視点で患者の安全を守りながら、尊厳を重視し生活する力を低下させない看護を目指しています。病院という場から元居た場所へ帰ることを想定し、普段身近にいる看護師が中心となって多職種の協力を得ながら患者を転倒転落から守り、損傷予防に取り組んでいます。
《令和5年度の取り組み概要》
・ 多職種が共通認識で転倒転落リスクを正しくアセスメントするための定義の統一など、マニュアルの見直し
・ 多職種でも実施している転倒予防対策が把握できるよう、患者状態(図1:ピクトグラムを使用した状態把握)や対策(図2:据置手すりの場面別設置パターン)の可視化
・ 多職種による4M5E分析手法を用いた要因分析、対応策検討実施
(図1) (図2)
【倫理の視点】
看護を取り巻く環境は、新しい技術の発展や患者・家族の権利擁護から看護師の役割は拡大し大きく変化してきています。看護師は日常的に多くの倫理的課題に遭遇し、さまざまな倫理的意思決定支援にかかわるようになってきました。そのため、多職種を巻き込み倫理的な判断ができる看護師が求められています。
《令和5年度の取組み概要》
看護部倫理委員会では、今年度の目標設定を「インフォームドコンセントにおいて求められる看護職の役割を学び、実践に活かす」とし、倫理的課題について考える力と看護実践能力を身につけるため事例検討を中心に活動を行いました。日本臨床倫理学会のモジュール視聴・知識の共有、ガイドラインの活用から四分割表を作成し①患者の全体像を導き出し、患者の意思形成・意思表明支援を行う、ために②人的環境・物的環境を整える事の重要性、を確認しました。患者との対話を通し③患者の気持ち(価値観)を引き出す、ことの緊張感を体感する演劇ワークショップを行いました。そして患者の感情表出を促すコミュニケーションスキル『NURSE』を学び患者の話を意図的に聴くスキルを学びました。この学びから、各部署でインフォームドコンセントにおける倫理的課題をリンクナース達が中心となり検討する事で、看護部全体における臨床倫理・看護倫理の醸成を促しています。
身体拘束についてはこれまでも継続した取り組みを行っています。身体拘束に頼らない看護を継続的に実践する中でやむを得ず身体拘束をする場合に使用する、患者さん・ご家族に向けた看護計画の説明用紙を作成しました。また、リンクナースが身体拘束ゼロdayの取り組みを推進し、解除に向けた多職種カンファレンスの内容の講評を自部署や委員会で毎月行っています。
【地域との協働の視点】
地域包括ケアシステムの推進に伴い、病院完結ではなく地域完結の医療にシフトしています。地域の急性期病院として地域との協働を強化し、患者の生活を支援することを重視しています。各病棟の入退院支援看護師は患者支援センターと連携し、患者・家族が安心して入院生活が送れるように入院前から面談を実施し、治療や検査、療養生活の説明を行っています。その中で、事前リスク評価等を行うことで、院内多職種のみならずケアマネージャーや訪問看護師など、地域の関係職種とも連携・協働し退院後を見据えた支援を早期から行っています。
各病棟でも受け持ち看護師が中心となり入院早期よりケアマネージャーと連携し在宅での暮らしを確認、患者家族の望む生活の場に戻れるよう患者の個別性を重視した意思決定支援を行っています。そして退院前には退院前カンファレンスや退院前訪問・退院後訪問を行い、地域・外来・入院に係わる多職種の繋がりが強化できるように取り組んでいます。
《令和5年度取り組み事例》
多職種で週1回患者サポートミーティングを実施しており今年度は「ACPを意識した意思決定支援の促進と、地域との相互連携を図る」ことを目標に事例検討を行いました。
*取り組み事例紹介
・ACL患者に多職種で協働し「意思決定ノート」を使用し意思決定支援を行った事例
・未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後に広範囲SAHを来した事例
・急性骨髄性白血病再発患者にACPを意識した意思決定支援にかかわった事例
災害支援ナース
災害支援ナースとは、看護職能団体の一員として、被災した看護職の心身の負担を軽減し支えるよう努めるとともに、被災者が健康レベルを維持できるように、被災地で適切な医療・看護を提供する役割を担う看護職のことです。都道府県看護協会に登録されています。災害支援ナースによる災害時の看護支援活動は、自己完結型を基本としています。(日本看護協会ホームページ引用)
当院は、災害拠点病院の役割として、数名の看護師が災害支援ナースに登録しています。
平成30年7月の西日本豪雨災害では、JMAT京都メンバー(医師、看護師、事務職員)で、7月18日・19日、倉敷市の災害支援に2名の看護師が参加しました。
活動内容は、診療介助、部分的な保清や、患者の思い等を傾聴し、疾病予防などの助言を行い、環境整備などを行いました。
クリニカルパスリンクナース
クリニカルパスとは治療や検査にあたってどのような処置を行うのか、その実施内容や順序を入力したスケジュール表のことです。 医療サービスの提供には多職種間の連携が不可欠であり、質を維持しながら効率的なサービスを行うには、治療や看護の標準化や最適化が欠かすことができません。 治療や看護を標準化し、より良い医療サービスが提供できるように、当院でも、各部署で『クリニカルパスリンクナース』が活動し、適切でガイドラインに沿ったクリニカルパスが運用されるよう支援しています。
クリニカルパスリンクナースの役割
クリニカルパスのPDCAサイクルを確立し、ガイドラインに沿ったクリニカルパスの運用を図る。
感染対策リンクナース
病棟・部門から1名の看護師が、所属部署における感染対策活動を推進する役割モデルとして日々活動しています。
活動内容
1.感染防止対策マニュアルに準じて正しい感染対策が実践できるよスタッフを指導しています。
2.手指衛生遵守の向上にむけて、部署で使用している手指消毒薬の使用量を毎月測定し、適切なタイミングと方法で手指衛生が実施できているか直接観察により、部署の特性に合わせた指導を行っています。
3.所属部署における感染対策上の問題点を明確にし、ICT(感染制御チーム)と連携しながら改善に向けて取り組んでいます。
4.地域へ戻る患者さんやご家族、サポートする人へ向けて、患者さんの生活や支援体制に合わせた感染対策の介入や指導を行っています。
5.院内・外の感染対策に関する研修会や学会へ参加し、知識の向上と新しい情報を取り入れ、現場で活用しています。
6.部署内の環境整備に努め、安全で清潔な労働環境・療養環境を保つよう取り組んでいます。
■部署ラウンド
年3回実施(ラウンドテーマ:個人防護具の適正使用、手指衛生、尿道留置カテーテルや中心静脈ライン管理)
退院支援リンクナース
早期の在宅療養への円滑な移行や地域生活への復帰に向けた取り組みが重要視されるようになり、各部署で退院支援リンクナースが活動しています。 退院支援リンクナース会では「お家に帰ろう」を合言葉に、患者さんの「帰りたい」気持ちを大切に、患者さん・ご家族が安心して療養の場を選択し、療養が継続していけるよう支援しています。
退院支援リンクナースの役割
- 多職種での退院支援カンファレンスの推進
- 在宅へむけて入院早期からの退院支援の推進
- 退院支援・退院調整についての学びをスタッフに教育指導
- 部署の問題点や傾向を把握し管理者とともに具体的な解決策を考え取り組む
活動内容
- 入院早期から退院支援の必要な人をスクリーニング
- 多職種での支援をプロセスフローチャートに可視化
- 当院から在宅へ繋いだ患者さんの様子を知ること、地域との情報連携を評価 する目的で訪問看護ステーション研修を実施
- 訪問看護ステーションと意見交換する中で情報連携の在り方、急性期病院看護師の役割について考える目的で看看合同カンファレンスを開催
リンクナースの声
- 看看合同カンファレンスに参加して、在宅での患者の様子が手に取るようにわかった。
- 急性期病院看護師は「患者」としてみているが、個々の人生を生きている社会人であり家庭人であるという認識で看護にあたるべきである。
- ただ生かされることとその人らしく生きることでは大きな違いがあり、ここに看護の本質があると感じた。
リンクナース達は、看護の視点を再認識でき、多職種・地域との連携の大切さを実感し、いきいきと看護に取り組んでいます。
部署でのリスクマネージメント
部署リスクマネージャーの役割
安全な部署環境づくり
医療安全対策の実働部隊として、部署安全マネージャーとしてリンクナースが中心となり医療安全対策活動の実践、医療安全教育を行っています。 部署安全マネージャーは月1回リスクマネジメント部会を持ち医療安全レポートの点検分析を行い分析結果から対策を検討していますが、その他に各部署の医療安全に対する課題について取り組みを行ったことの報告もしています。
6D病棟での取り組み
6D病棟は消化器内科、血液内科の病棟で、そこで部署安全マネージャーは状況を以下のように分析しました。
- 排泄目的で移動される際の転倒が多い
- 筋力低下がある
- 転倒転落される患者には薬剤(眠剤・麻薬)の使用歴はなく意識レベル低下を認めない患者が多い。
つまり、自ら排泄行動が行える患者の転倒が多いということがわかりました。そこで、排泄パターンを把握し排泄誘導することによって転倒予防ができるのではないかという仮説を立て、対象患者には看護計画を立て実践していきました。 取組を開始し毎月5~7件あった転倒転落件数が2~3件に減少しておりアクシデント事例はなく経過しています。
組織改善!第1歩目は・・・?
転倒転落のほかにも薬剤確認方法、内服自己管理の手順について、患者誤認0を目指した取組ワークシートの利用についてなど各部署で取り組んでいる課題は多岐にわたります。 どの取組も基本となるのは「医療安全レポート」と安全に対して部署内での活発な意見交換です。そして、そこにも部署安全マネージャーがひと役かって活動しています。
救急室部署安全マネージャーの”ツブヤキ”です。 診療部・放射線技術科とヤイヤイ言いながら他部門と連携をとっていく。 あれ?いいのかな?これど~思う? いや~危なかったわ~。 などなど何でも声に出していける環境づくりをしていきたいと思います。
部署紹介
3A病棟 :病床数 42床(循環器内科27床 糖尿病代謝内科11床 皮膚科2床 腎臓内科2床)
3A病棟では患者が安心・安全に急性期治療が受けられ、退院後も住み慣れた環境で療養生活が送れるように患者の意志決定支援、在宅移行支援に努めています。
今年度の部署目標の1つである「患者の情報、記録を共有することで患者の生活を支える看護を実践する」ことを達成するために、外来・地域と連携し、患者を地域で支える在宅関係者と積極的に関わっています。退院支援シートを有効に活用し、入院中の状況、退院後課題となることを外来担当看護師と共有し、療養指導の充実を図っています。また、変化のステージモデルを使用し、患者の意識・行動の変化を可視化できるように取り組んでいます。
循環器内科では、今年度8月より、心不全患者が入退院を繰り返すことなく暮らせるように、多職種がチーム医療で支える心不全チームの活動を開始しています。対象者は、生涯に亘る生活指導が重要となる若年心不全患者、初発心不全、社会背景が複雑な患者等から抽出し、毎週1回症例カンファレンスを開催しています。
糖尿病代謝内科は、外来で療養指導、フットケア等も担当しています。主に、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病に対し、食事・運動療法から最新の薬物療法、慢性合併症の管理、さらに急性合併症の救急対応まで幅広く行っています。また、退院後の初回外来受診時に看護師が生活状況の聞き取りをしています。2023年4月から2024年1月までに退院後初回外来の患者40名に療養指導を実施しました。入院中に関わっているスタッフが担当することで、退院後の療養生活の中で困難となっていること(食事・運動の内容、内服管理方法、自己血糖測定・インスリン自己注射の方法など)を安心して話せる環境を作っています。フットケア外来では、2023年4月から2024年1月までに561名の患者に対応し、足のケアを行い、皮膚や爪トラブルの予防とセルフケア支援を行っています。
また、人材育成として、実習指導者講習会、日本DMAT隊員養成研修、入退院支援看護師養成研修、教育担当者研修と幅広い分野の研修受講のキャリア支援を行いました。
3B病棟(集中治療室) :病床数 8床
ICUとは、『Intensive Care Unit』の頭文字をとった略称で、救命できる可能性のある重篤な患者、また、内科・外科を問わず、重篤な急性機能不全の患者に対して幅広く対応しています。2023年度の4月から2024年1月までに910名の患者を受け入れてきました。多種多様な疾患の急性期患者の合併症をより軽減し、早期離床、集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)予防のため、積極的なケア介入を実践しています。PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)を効果的に活用し、チーム力を高め、生命の危機に瀕した患者だけでなく、その患者家族を支えるための多職種カンファレンスも実施しています。
【日々ICUで実践していること】
・ウォーキングカンファレンス、術前カンファレンス
・倫理カンファレンス(ケアカンファレンス)
・学習会
・BLSトレーニング(年間実施率96%)
・METラウンドの参加
ICUでは、患者情報や状態の把握を迅速に行い、患者の状態変化に合わせた看護を実践しています。また、より高度な質の高い看護を実践するための学習も様々なツールを駆使して実践に繋げています(ZOOMや動画での共有)。
患者さんの思いを大切にするために…
ICUでは、入室患者さんのカンファレンスに臨床倫理の4分割表を活用しています。重症急性期に陥りやすい治療中心のカンファレンスではなく、患者の思いや家族の思い、価値観や周囲の状況などを多職種で可視化し、倫理課題に対しチームで取り組んでいます。難しい判断や困難な状況においても、より最善の選択を本人、家族とともに選べるように、そのプロセスを大切にしています。
3D病棟 :病床数 37床(脳神経内科16床 脳神経外科15床 内分泌科6床)
脳神経系・脳卒中疾患患者を中心に急性期患者を受け入れており、医師をはじめ多職種と連携を取りながら的確な観察と、適切な治療を受けられるよう援助をしています。また、脳卒中疾患では、発症に伴い麻痺や高次機能障害などが出現し、その後の生活に支障をきたすことが多くあるため、治療の段階や病態管理、残された力を最大限に活かせるように、看護ケア介入が重要となります。嚥下機能訓練、食事援助、二次感染予防、排泄行動の確立、せん妄対策、認知症への対応、安全な環境整備、リハビリの推進など、看護師は、「その人らしく」残された力をより引き出し、患者さん自身の力で生活できることを目指して看護をすすめています。
内分泌内科では電解質異常や放射線治療など専門的な治療を行っており、退院後の生活指導が重要になるため、外来と連携し継続した看護を行っています。
入院直後は症状悪化や合併症を起こさないように、病状が落ち着いたあとは退院後の生活を見据え多職種が専門的な視点で意見を出し合いカンファレンスを行っています。この多職種カンファレンスでは、院内だけでなく近隣の病院から医師、看護師が参加しています。当院から地域へシームレスな連携ができるように心がけています。
4A病棟 :病床数 36床(小児期26床 NICU6床 GCU4床)
0歳から15歳までの小児内科領域全般の疾患、および外科、耳鼻科、整形外科、歯科、形成外科等の周術期のこども達を受け入れています。また、NICU・GCUも小児科病棟と統合しており、出生後から乳児・幼児・学童期と継続してサポートできる体制を整えています。小児科外来も同じ看護スタッフが担当しているので、退院後も地域医療と連携し、患者さんの生活を支援しています。
小児外科では日帰り手術を2023年度より始めています。日帰りでも安心して手術が受けられるよう、看護師・医師・保育士・手術室看護師し連携し術前プレパレーションを実施しています。
4A病棟では、小児看護専門看護師・新生児集中ケア認定看護師をはじめ、造血細胞移植コーディネーターや造血細胞移植後長期フォローアップ専門外来や小児在宅支援指導者など様々な分野で専門性を持ったスタッフが活躍しています。看護師育成に対しては、疾患の学習だけでなく、24時間小児救急を受けているため急変対応実践や、ハイリスク妊産婦からの出生に備えて、NCPR専門コース取得などもすすめています。また、小児科外来も担当するため、外来トリアージについても学習会を開催し、安全に医療が提供できるようにしています。
血液疾患や慢性疾患など退院後もフォローが必要な子どもに対して、退院後の様子を確認し必要時は関係機関、学校などともカンファレンスを実施しています。退院支援看護師と担当看護師が中心になり、2023年度は18件実施しました。ZOOMなどを活用し往診医や訪問看護師・ヘルパー・児童相談所スタッフ等多職種で話し合うことが出来ています。
また、小児科外来だけではなく、看護専門外来として移植後フォローアップ外来も担当しており、進学や就労などAYA世代の悩みに対応しています。
入院しても学習やあそびなど、こどもの経験を大事にしたいと考えています。その取り組みとして、院内学級での学習支援・季節のイベントに加えて院内社会見学も開催しました。
こどもが、自分の病気を理解すること、社会の中でどのように支えられているのか、また自分の将来についても考える機会になればと考えています。
また、付き添いされている家族のために、ヨガ教室を始めました。家族もリラックスできる時間を提供できるよう頑張っています。
4B病棟 :病床数 40床(産婦人科26床 乳腺外科8床 外科6床)
4B病棟は、産婦人科、乳腺外科、外科の女性のための混合病棟です。
産科は地域周産期医療センターの役割を担っており、糖尿病や甲状腺疾患、てんかん、精神疾患などの合併症管理を必要とする身体的ハイリスク妊産婦や、社会的ハイリスクの妊産婦を多く受け入れています。
婦人科と乳腺外科は疾患の診断時から多職種で継続的に介入を開始し、患者さんが安心して手術療法、化学療法、放射線療法など集学的な治療が受けられるよう支援を行っています。
今年度重点的に実践したことは、PX(ペイシェント・エクスペリエンス:患者経験価値)調査結果をもとに、医師、看護師、薬剤師、栄養士、リハビリ科と合同勉強会などを実施しました。これにより、各職種がもつ専門的な視点を相互に理解しながら、患者に合わせた退院後の生活を効果的に支援するため、リハビリ科と協働し退院指導パンフレットの見直しを行いました。
また、昨年度から実施しているがん薬物療法により出現する脱毛予防ケアとして、頭皮冷却装置を使用し、2023年4月~2024年1月までに124例実施しました。患者からは、「髪が抜けなくて良かったです」「帽子をかぶらなくてよくなった」という声があり、脱毛予防だけでなく、早期発毛を促すことに繋がっています。
周産期におけるチーム医療の強化と推進を目的に、産科危機的出血シミュレーションを実施しました。管轄消防署の救急隊や救急室、手術室、小児科、NICUのスタッフが参加し、大量出血妊婦の緊急搬送受け入れから緊急帝王切開術の決定と手術室入室から児娩出までの過程を切迫した時間制限の中、合同で行うことで多職種とのコミュニケーションや情報連携の重要性について学ぶ機会となりました。
5A病棟 :病床 52床(整形外科50床 歯科口腔外科2床)
5A病棟は整形外科・歯科口腔外科の急性期病棟です。
整形外科では人工股関節・人工膝関節の置換術や大腿骨近位部骨折、脊椎疾患手術などを受ける患者が入院しています。歯科口腔外科ではリスクの高い抜歯や歯根嚢胞、上下顎骨腫瘍など手術を行っています。
令和5年度の5A病床利用率は、84.1%で平均在院日数は16.7日でした。整形外科の平均年齢は68.7歳ですが、後期高齢者の手術件数は年々増加しています。治療を受け、患者の望む療養先へ繋げていくために入院時、多職種でカンファレンスを実施し、入院期間、目標とする退院先、ADLを確認し合っています。また術後1週間後には、患者の術後のADL回復状況を確認し、自宅での日常生活で不安になることなど患者と共に考え、退院後の社会福祉資源の活用やリハビリ転院など提案しながら、患者の安心できる療養先を目指して関わっています。病棟、外来の一元化のため、退院後も入院時に説明した内容が理解されているか、生活で困っていることはないかなど外来受診時に患者から聴取し、継続したケア介入を行っています。
昨年度より、日々変化する患者状態を多職種が把握し、安全な患者搬送や療養環境作りができるよう、ベッドサイドにADL票を表示しています。これにより、ナースコール対応が速やかに行え、ベッドサイドに補助具が放置されることも少なくなり、患者の転倒転落件数も減少しました。また患者自身も自立に向け前向きな姿勢でリハビリが取り組めています。
5B病棟 :病床数 21床(血液内科21床)
5B病棟は、血液疾患の患者への化学療法看護、造血幹細胞移植の看護を実践する病棟と、外来で化学療法を受けている患者への看護を行なう外来化学療法センターを担当している部署です。がん治療期の患者への専門的な看護の実践、特にがん化学療法看護に強みを持つ病棟として、患者一人一人の状態に応じた有害事象の観察や早期発見・早期対応だけではなく、セルフケア支援や意思決定支援、家族ケアを行なうことによって、患者が住み慣れた地域で安心して過ごしながら治療を継続できるよう支援を行なっています。
2023年度の部署目標は「患者・家族との対話を通してパートナーシップを築き、実践可能なセルフケアを一緒に考え地域での患者の療養生活を支える」として、チーム活動をしてきました。がん治療の進歩により、外来での治療や高齢でも化学療法を受けられる患者が増加しています。一方で独居・高齢世帯の増加による医療介護需要の増加や、入院中の身体機能の低下が課題となっています。血液内科病棟では、疾患や治療による倦怠感や血球減少に伴う出血リスクの増加があることや、入院が長期に及ぶことによる筋力低下、抗がん薬による末梢神経障害など、患者の生活力維持に困難をきたす要因が多くあります。その中でも日常ケアの見直しを行なうことで、スタッフ全員が「患者の生活力を維持する」視点で看護を実践し、地域に戻り安心して治療を継続できるよう支援しています。また、治療に伴う身体の変化を患者自身が理解し、医療者と一緒に安全対策を話し合うことで効果的な転倒予防対策につなげています。
外来化学療法センターでは、治療を受ける患者のうち56.3%が70歳以上であり、全員に高齢者機能評価(G8)によるスクリーニングを実施し多職種による専門的な介入や地域連携強化に早期から取り組むことで、患者の安全な治療継続のための体制を作っています。患者状態に応じた専門的な看護実践から、スタッフがお互いに学び、協力し合い、全員が自信を持ってケアを提供できることを目指しています。
5E病棟 :病床数 14床(緩和ケア科14床)
緩和ケア病棟は身体や心のつらさ、社会的なつらさなどの緩和をはじめ、在宅移行支援、最期の看取りケア、レスパイト目的などの入院を受け入れています。患者さんとご家族のつらさをやわらげ、患者さんの大切な時間、すなわち“命”をその人らしく過ごせる場を提供しています。そのために多職種とのパートナーシップを築き、希望を叶えるようなケアを目指しています。
看護実践として緩和病棟では、痛みのコントロールのためのお薬を開始することで、転倒のリスクが高まりますが、最期まで自分で食事をしたい、自分の足でトイレに行きたい、といった意思を尊重したケアを行っています。そのため、維持的リハビリテーションを取り入れており、2024年4月~12月までの入院患者さんの84%にリハビリがおこなわれています。またトイレまで安全に行けるよう、移動式の手すりを設置したり、転倒しても身体外傷を防止できるよう壁の角にクッションを取り付けました。
また緩和ケア病棟では、日々のカンファレンスを大事にしています。今年はアドバンスケアプランニングをすすめるため、昨年作成した「わたしノート」の運用を始めました。また看護実践を振り返るため、看取りとなった患者さんについて毎月様々なテーマデスカンファレンスを行い、看護の質の向上を目指しています。
家族関係が希薄になりがちで社会的なつらさを抱える患者さんも多くなっており、多様な価値観を共に支えるケアをしています。
<地域との協働>
昨年度の在宅復帰率は、17%でした。コロナの影響による面会制限は続いており、在宅療養を希望される方に地域の往診医や訪問看護師、MSWとともに支援しています。また、一般病棟から緩和ケア病棟に転棟し、疼痛などの症状コントロールが出来たことで初めて在宅を希望される方もおられます。限られた時間の中で、できるだけ迅速に退院調整をすすめると共に、自宅で安心して過ごせるように家族ができるケアの指導にも力を入れています。
6AB病棟 :6A病床数 34床(消化器内科22床 救急科10床 総合内科全科共通2床)・6B病床数 22床(感染症科(結核・Covid-19)22床)
当院では、2020年1月より新型コロナウイルス感染症罹患患者の受け入れを開始し、患者数の増加に伴い2022年度には6ABともにCovid-19専用病床に編成となりました。その後、2023年5月に5類感染症に移行となり、6Aは消化器内科・救急科病床へ、6Bは感染症科で結核やCovid-19など陰圧空調管理の必要な感染症患者を受け入れる病床に再編成されました。3年ぶりに結核患者の受け入れが再開となり、今年度は消化器内科や救急科の看護だけでなく結核患者への看護も再構築していく1年となりました。また内視鏡室も6ABの所属となり、がんの診断や外来・入院における治療の理解を深め、切れ目のないケアが提供を目指して取り組んでいます。
2022年度は患者さんの<その人らしさ>を大切にするケア実践を病棟目標とし、Covid-19罹患した高齢者や認知症の患者さんを対象に部屋から出てデイサービスのようなアクティビティを取り入れ、生活リズムを整え睡眠や食欲の促進につながるケアを実践しました。さらに、IPOSを活用し入院中の思いを表出できるような取り組みも行い、2023年度は患者や家族だけでなく様々な職種やリソースなどと「つながる看護」を目標としました。
前年度から活用しているIPOSは継続し、聴取内容から患者の気がかりや生活に支障を及ぼしている傾向を知り、日常ケアや退院後の支援に活用しています。がんの患者さんでは、「今後の治療」「改善するのか」「痛み」「食事で注意すること」などが気がかりなことに挙げられており、看護師だけでなく医師やがん関連支援部門などと共有し、不安や症状の緩和に努めています。Covid-19の患者では面会制限による不安や「身体が元の状態に戻れるのか」など不安の表出が聴き取れました。セラピストとともにリハビリを進め、患者の状況に合わせてタブレットによるビデオ通話で家族との面会を行っています。
【IPOS:R5.9~R6.1】
主に大変であったこと 気がかり(5段階中3以上の人数) |
痛み | 呼吸苦 | だるさ |
食欲 不振 |
動きにくさ | 今後 |
6A:消化器内科(n=32名) | 5 | 0 | 3 | 6 | 3 | 6 |
6B:Covid-19(n=29名) | 3 | 2 | 6 | 5 | 5 | 6 |
また、今年度は部署に夜勤専従看護補助者が増員されました。看護補助者は患者や看護業務の支援だけでなく、クリスマスの飾りつけを行うなど患者の入院生活に季節を感じられる工夫も行っています。
6C病棟 :病床数 50床(消化器内科18床 消化器外科34床)
6C病棟は、消化器センターとして稼働しています。
消化器内科は、内視鏡検査・治療、がん化学療法を受ける患者を中心に受け入れています。
消化器外科は腹腔鏡下手術の他、ロボット支援手術も年々増加し、胃癌・結腸癌・直腸癌だけでなく、近年は、食道癌・膵臓癌・肝臓癌・胆道癌にもロボット支援手術が行われています。高難度手術が増加していますが、術後当日から翌日までの離床率は85%前後を維持できています。麻酔科医師・薬剤師・管理栄養士・手術室看護師と病棟看護師で構成された術後疼痛管理チーム(APS:Acute Pain Service Team)によるラウンドを実施し、疼痛評価とコントロールを行い、リハビリ科と連携して早期離床に繋げています。また、手術前より「術後の回復のためのパンフレット」を使用し術後合併症予防に努め、早期に患者が生活の場へ戻れるよう支援しています。特に、ストーマ造設手術を受ける患者には、術前のオリエンテーションとして、ストーマモデルを利用しボディイメージの変容や実際のケアも経験し、不安や心配事に寄り添いながら在宅へ移行できるよう支援しています。
このように、高度な手術や治療を受ける患者の高齢化が進み、2023年度入院患者の平均年齢は72歳を超えていることから、当病棟では周術期看護の実践に加え専門性の高い高齢者看護に取り組んでいます。入院時からせん妄リスクアセスメントを行い、多職種で早期介入することで、術後せん妄の増悪や転倒転落の予防に繋げています。他にも高齢者や認知症患者が安心して入院生活が送れるよう、音楽療法やレクリエーションを取り入れています。また、入院中に実施したケアが継続されるよう、退院後初回外来受診時面談や退院前後訪問を積極的に行い評価しています。
私たちは、日々目の前にいる一人ひとりの患者、家族の思いを大切にしながら看護を提供しています。
6D病棟 :病床数 48床(泌尿器科20床 腎臓内科14床 血液内科14床 血液浄化センター20床)
6D病棟は、患者の生活軸を中心に「7つの看護」の実践と可視化に取り組んでいます。入院前から退院後の生活を見据えて関わり、地域での患者の暮らしを支えるために院内外を問わず多職種と連携し、看護を繋ぐことを目指しています。
*7つの看護とは「周術期看護」「セルフケア看護」「がん化学療法看護」「終末期看護」「透析患者の看護」「退院支援」
血液内科では白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫など、主に化学療法を受ける患者を中心に受け入れています。患者に合わせた様々なレジメンがあるため、治療内容や方法・副作用などを理解し、安全に治療を提供していく必要があります。そのため、化学療法を受ける患者に対して、毎朝、血液内科医師と共にカンファレンスを行い、治療について確認することで安全な治療の提供に取り組んでいます。
泌尿器科では膀胱全摘回腸導管造設患者に対して、術前にストーマの模擬体験を実施しています。術後のボディイメージや日常生活の変化を家族とともに経験し、身体的・精神的にスムーズに受け入れる準備に繋げています。
腎臓内科では末期腎不全患者が今後の治療法を選択していくために、療養選択外来で意思決定支援を行っています。対話を通して患者ひとりひとりの生活環境や習慣・好み・思いなどを知り、患者・家族が納得して最善の治療法が選択できるまでサポートしています。
膀胱全摘回腸導管造設患者は生涯ストーマパウチ交換が必要となります。患者・家族の高齢化や、サポート体制が十分得られない場合は、入院中から訪問看護師と連携を行っています。そして退院後の生活環境やストーマ管理状況を確認するために退院後訪問を行い、訪問看護師の同席を依頼することで、地域との継続看護に繋げています。
腹膜透析導入患者は自宅での治療となるため退院前訪問を行い、自宅環境や整備状況を患者・家族とともに確認しています。退院後は在宅治療が円滑に行われその人らしく過ごせているか退院後訪問を行いサポートしています。また必要時、訪問看護師や往診医の介入を依頼し、地域での暮らしに繋げています。
7C病棟 :病床数 45床(耳鼻咽喉科16床 眼科14床 脳神経内科9床 皮膚科6床)
7C病棟では「地域の中で療養される患者の日常生活に根付いた支援~寄り添い、向き合い、つなげる看護、ともに歩もう~」を部署目標に、多様化・高齢化する患者の声に耳を傾け、いつでも・どこでも・だれでも、というユニバーサルデザインの考え方を大切にしながら看護に取り組んできました。
超高齢化が進み複数の既往歴があることに加え、脳神経内科は運動・感覚障害や自律神経障害、眼科は視力障害、皮膚科は下肢壊疽などによる運動・感覚障害、耳鼻咽喉科では悪性腫瘍を主とした手術療法、放射線療法、疼痛コントロール目的での麻薬の使用など疾患上の特徴があります。これら多様な患者のせん妄予防、睡眠時間確保、ADL低下予防、転倒転落予防などを目的に認知機能低下、活動低下、不眠などのある患者を主な対象として、病棟内デイ(陽だまり)を立ち上げました。9月から土・日・祝日にデイルームでラジオ体操や365歩のマーチの音楽に合わせ身体を動かす体操を中心に実施してきました。
1月時点で計8回実施、のべ42名参加となっています。明確な結果はまだ出ていませんが、「今日はよく眠れそう」「懐かしい曲、楽しかった」「気分転換になった」「身体は動かさないとね」「他の人としゃべる機会になった」などの声が聞かれ、患者さんからのメッセージカードにも「楽しいひとときでした。気持ちも明るくなり、こういう時間は必要だと思います。こんなことをしてもらえると思っていなかった。」など感謝の言葉も頂きました。入院期間にもよりますが複数回参加される患者もいました。生活の質、特にADLを低下させないケア提供は、患者の経験価値を上げることにつながります。また、その成果は、看護師のやりがいにもつながっています。“陽だまり”は7C病棟が誇れる高齢者看護として確立し、次年度以降、バージョンアップしながら継続していきます。
7D病棟 :病床数 45床 (呼吸器内科34床 呼吸器外科11床)
7D病棟は呼吸器センターとして、肺がんに対する手術療法、化学療法、放射線治療をはじめ、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など呼吸器全般の疾患に対する治療を受けられる患者さんが入院してこられます。
呼吸器外科手術ではほとんどの手術が胸腔鏡下で行われ、ロボット支援手術も多く行われています。術後は術後疼痛管理チーム(APSラウンド)の協力を得て疼痛管理に努め、早期離床・早期回復につなげています。化学療法は入院化学療法の患者さんを対象としています。最近では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療も増えてきており、病棟薬剤師やがん放射線療法看護認定看護師を中心として学習会やカンファレンスを実施し、患者さんの生活を見据えた退院支援やセルフケア支援、心理的援助に努めています。放射線治療についても累積線量により定期的に多職種でカンファレンスを実施し、患者さんが治療継続できるよう支援しています。呼吸器センターとして質の高い看護が提供できるよう専門性を高め、治療選択においては患者さんの意思を尊重し、患者さんが治療参加を実感できる支援を心掛けています。
また2022年より呼吸器外来の担当も開始し、病棟看護師が外来を担当する強みを活かして病棟外来連携にも力を入れています。外来を担当していない看護師でも病棟から外来へ支援を繋げることができるよう病棟外来連携対象患者を、①気管支鏡検査後のIC ②化学療法後の健康観察 ③放射線治療後の健康観察 ④在宅療養が必要な患者 ⑤入院中にがん告知された患者 ⑥早期に退院した患者 ⑦認知面・ADL等で生活に不安を感じる患者 ⑧病状悪化の見込みのある患者 ⑨服薬の継続管理が必要な患者 ⑩支援が必要だが入院期間が短期間で関わりが持てなかった患者 ⑪支援する家族の変調が予測される患者 ⑫経済的な問題が懸念される患者 というように具体的に明記し、病棟から外来、外来から病棟へ情報提供しながらケアを継続・支援に取り組んでいます。病棟、外来ともに「面識のあるスタッフがいて安心する」と患者さんからの声も聞かれ、また放射線治療後のスキンケアや誤嚥性肺炎の口腔ケアなど患者さんが自宅に戻られてもケアの継続を確認するなど、入院前から入院中、退院後と継続した支援を行うことができ看護師のやりがいにも繋がっています。
手術センター
患者が安心して手術を受け、安全・安楽に手術を終えられるように、患者の手術が決定してから手術を終えて退院まで継続した周術期看護を目指しています。
手術室では診療科医師・麻酔科医・臨床工学技士・放射線技師・薬剤師・看護師・医療事務・SPCなど多職種で連携しチームワークをもって、バイオクリーンルーム2室、陰陽圧切り替え可能ルーム1室を含む10部屋で手術を実施しています。
2024年2月からはダヴィンチXiに加えて、SPが導入され、地域がん診療連携拠点病院としてロボット支援手術を中心としたがんの手術や難易度の高い手術といった高度急性期医療を提供しつつ、地域における救急医療を担う病院として枠外手術や緊急手術を積極的に受け入れています。
手術室看護師も医療チームの一員として専門的な知識と技術を持ち、質の高い手術看護の提供を目指し人材育成に取り組んでいます。
対象患者は小児から高齢者まで全ての年代であり、小児に対しては病棟看護師、保育士と協働しプレパレーションを実施しています。希望があれば、手術日より前に「手術室に探検へ行こう!」と患児とその親ともに手術見学を行っています。手術台に寝てみたり、SpO2モニタープローベを装着しモニターの音を体験したり、酸素マスクを顔にあてるなどしながら手術室に入ってきたときの説明をしています。また、手術室の見学ができないときは写真を用いてイメージができるように説明をしています。説明を事前に受けることで患児の不安や恐怖心を少しでも軽減し、心の準備ができるように働きかけています。
現在、リスクのある患者やコミュニケーションに問題のある患者を対象に、術前外来を実施しています。術前外来は麻酔科医師の説明の理解度や不安の有無の確認と補足説明などを行い、患者が麻酔について理解した上で手術に臨めること、術中・術後の合併症のリスクを軽減できるように禁煙や皮膚の保湿などの指導を行うことを目的に実施しています。今後は予定手術の全患者を対象に実施したいと考えています。
救急室・放射線科
京都府二次救急医療機関・地域医療支援病院・災害拠点病院の救急部門として、年間6,000台以上の救急車搬送を受け入れ、救急外来として13,000人の救急初期診療を行っています。院内の他職種スタッフだけでなく、救急救命士とも連携し救急医療を提供しています。人口の年齢構成の変化、医療の高度化で疾病構造も大きく変化し、救急受診をする患者も65歳以上の高齢患者の占める割合が大きくなってきています。複数の疾患をもち複雑な病態での救急受診が多く、また独居や高齢者二人暮らしなど社会的支援が少ないこともあり、診断、初期治療の段階から患者とその家族の生活を見据えた支援のために、“地域・各医療機関・介護福祉機関”との連携を強化し、地域での患者のくらしを支えています。入院先のICUや病棟へ救急室で得られた情報を伝達し、安全安心な医療提供の継続をする一方で、高齢者や継続的に支援が必要な患者の帰宅支援、療養支援のために在宅チームとの情報連携をはかっています。また、脳血管や心血管などのIVR治療等、関係部門と協働し患者の安心と安全な医療を提供しています。
外来
外来診療部門は37診療科(病棟一元化含む)、処置室、放射線治療室、採血室、健診センターで構成されています。外来看護師は、疾患を持ちながら生活をする患者や回復期にある患者が住み慣れた地域で安心して療養できるように看護を提供しています。
2023年度の部署目標として、『患者の治療・生活の先を見据え患者とともに創造する』事を軸に看護ケアを行っています。2Aエリア(消化器内外科・乳腺外科・小児外科)においては、がん患者を中心に診断期から病状説明に同席し医療者と患者家族の架け橋になり特に対話を促進する役割を担っています。治療や社会生活の不安に寄り添いメディカルソーシャルワーカーと連携して療養環境を整え、最終的には患者や家族自身が疾患と向き合い自分らしい人生を歩んでいけるような意思決定支援をしています。
副作用が少ない薬剤や治療法の進歩などにより、生活の場を離れず外来でも高度な治療ができるようになってきました。新薬などの勉強会を通して高い看護力が提供出来るよう、日々知識のアップデートをはかっています。またパートナーナース同士で看護実践を振り返り、看護実践能力向上に努めています。各科の多職種カンファレンスに参加し入退院前後の病状管理や医療処置への支援、治療やセルフケア継続、在宅サービス利用支援を行っています。特に泌尿器科では、BSC(ベストサポートケア)の患者や化学療法中などで在宅ケア度の高い患者に焦点を当て、外来看護師が中心となり多職種カンファレンスを企画しています。
来院する患者や家族にとって安全・安心、快適に受診できる場となるように、多職種で外来エリアの環境ラウンドを実施し、安全な環境を整えています。
※ 過去の部署紹介はこちらからご覧ください。