よくあるご質問(一般の方へ)
Q.乳がんとは何ですか。
がんは、「上皮細胞」由来の「悪性腫瘍」です。がんの発生は、①なんらかの原因で遺伝子が傷つき(イニシエーション)、②細胞増殖の制御メカニズムが乱れて増殖が促進され(プロモーション)、③腫瘍性の変化を起こして早いスピードで増殖していく(プログレッション)、以上の3段階があります。がんは、異常に増殖し続け(自律性増殖)、周囲の組織や遠くの臓器にまでひろがります(浸潤、転移)。ひとのがんの要因には、喫煙、食事、運動、飲酒などの生活習慣や、ウイルスや細菌などの感染、職業や環境汚染、生殖要因とホルモンなど多くのものが関連しています。乳がんは、上記のようなメカニズムで乳腺の乳管、小葉というところから発生するがんです。発生し増殖すると、しこりを作ったり、乳頭からの分泌物を認めたりします。そして進行すると乳腺から他の臓器に広がり(転移)生命にかかわります。
Q.日本人に乳がんが増えてるって本当ですか?
本当です。生涯において女性の約12人に一人が乳がんになると言われています。
2015年には日本で約9万人弱の方が乳がんを発症すると予測されています。
年齢別では、40代後半に最も多く、60代にも、もう一つのピークがあります。
Q.予防のために気をつけるべきことはありますか?
乳がんになるリスク因子として遺伝など自分では変えようのないものもありますが、生活習慣、運動など自分で変えられるものもあります。肥満やアルコール、喫煙でリスクは高くなります。肥満にならないよう、食事に気をつけて、10−20分程度の運動を毎日心がけましょう。またアルコールを控えて、禁煙をしましょう。
Q.自己チェックはどのようにすればいいですか?
乳腺は自分で触れる臓器です、月に1回は、ご自身で触診をしましょう。
お風呂の前に鏡で乳房の皮膚にひきつれなどがないか、乳頭から分泌物がないか確認しましょう。また石鹸で洗うときに反対側の手で乳房を撫でるように触ってしこりなどが無いか調べましょう。また可能な範囲で両手の指先でしこりが無いか確認しましょう。寝る前に横になって同様に調べて頂くのもよろしいです。
Q.家族や親族に乳がん患者がいるのですが…。
親子、姉妹など親族に乳がんの方がひとり居られると、乳がんのリスクは2倍になると言われています。ご自身の乳がんのリスクが高くなることを自覚して自己検診や定期検診を忘れずに受けましょう。また遺伝性の乳がんも頻度は少ないですがあります。親、姉妹、娘さんなど身内に3人以上の乳がんの方がおられる場合や、2人でも両側乳がんや40歳未満の若い方、多臓器との重複がんの方が含まれる場合や男性乳がんの方がおられる場合などは遺伝性乳がんの可能性もありますので外来で担当医にご相談ください。
Q.家族が乳がんになったらどうすればいいですか?
現在日本では、約2人に1人が、がんになると言われており、ご家族ががんになられることは、稀ではなく、多くの人が人生の中で経験することです。治療がスムーズに受けられるように、物心両面からサポートしてあげてください。病状、治療方針の説明の場に出来るだけ同席して話を一緒に聞いてください。ご本人は、頭の中が真っ白になり説明を十分に理解されていないこともよくあります。本人の聞きもらしたことなどを後で伝えたりすることも大切です。治療中は、家事などが困難になることもありますのでご家族で協力してあげてください。わからないことがあれば当院のスタッフに何なりとご相談いただければ幸いです。
Q.市立病院での乳がん治療の特長はなんですか?
「チーム医療」を実践しています。乳腺外科、病理診断医、放射線診断医、放射線治療医、乳がん看護認定看護師、放射線治療認定看護師、がん化学療法専門薬剤師、がん看護専門看護師、医療社会福祉師(MSW)など多職種の専門家が連携し「ひとりひとりの患者さま」の診療方針の決定、治療、支援を行っています。そして市民検診、ドックなどの検診から、検査・診断、手術、薬物療法、放射線治療、乳房再建、再発治療、緩和医療の全てを行っています。
Q.胸にしこりを見つけたのですが…。
乳房に出来るしこりには、良性のもの、悪性のものがあります。痛みがないから良性というわけではありません。むしろ乳がんで痛みが出ることは少ないのです。しこりに気がつけば、乳がんの可能性がありますので自己判断せずに速やかに乳腺外科を受診してください。
Q.良性のしこりが悪性化しないか心配です。
良性の腫瘍が悪性化することは、まずありませんが、良性という診断が確実なものかどうかは個々のケースで異なると思われます。確実な病理診断がなされているのであればまず心配しないで良いでしょう。ただ良性であっても腫瘍が大きくなる場合や他の部位に別の腫瘍が出現することもあるので検診は欠かさないでください。
Q.乳がん検診は何歳から始めるべきですか?
京都市の乳癌検診は30歳からです。遺伝性の乳癌の疑いがある場合は、20歳からの定期検診や遺伝カウンセリングをお勧めします(必要時は専門の施設をご紹介致します)。
Q.乳がん検診は毎年受けた方がいいですか?
検診で異常がなければ、2年毎の市民検診で良いでしょう。
その間は、ご希望により人間ドックなどの受診をお勧めします。
検診で異常があり、精密検査を受診された場合には、担当医の指示に従ってください。