腫瘍内科
基本診療方針
1 科学的根拠に基づいた最先端の治療の提供
2 安全な薬物療法の提供
3 他科とのチーム医療の実践
4 地域の医療機関との連携強化
5 臨床研究参加による治療開発の推進
医師紹介
部長 | きりしま としひこ 桐島 寿彦 |
臨床腫瘍学 がん薬物療法 |
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日本内科学会総合内科専門医 日本消化器病学会専門医(指導医) 日本肝臓学会専門医(指導医) 日本肝臓学会西部会評議員 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 日本臨床腫瘍学会指導医 |
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担当部長 | みやがわ まさみ 宮川 昌巳 |
臨床腫瘍学 がん薬物療法 |
日本内科学会総合内科専門医 日本消化器病学会専門医(指導医) 日本消化器内視鏡学会専門医(指導医) 日本肝臓学会専門医(指導医) 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本消化管学会胃腸科認定医(専門医) 日本消化器病学会近畿支部評議員 日本肝臓学会西部会評議員 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 |
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招聘医師 | なかじま たかこ 中島 貴子 |
臨床腫瘍学 がん薬物療法 |
京都大学医学部附属病院 次世代医療・iPS細胞治療研究センター 教授 早期医療開発科 診療科長 日本内科学会認定医 日本内科学会総合内科専門医(指導医) 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 |
スタッフは、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医・指導医、日本内科学会総合内科専門医などの資格を有しています。
外来担当医表
腫瘍内科は2Aブロックの受付となっております。
診療体制
近年、分子標的治療薬をはじめ、新規抗がん剤の開発と副作用に対する支持療法の進歩により、薬物療法の治療成績は向上しています。抗がん剤は一般薬と異なり副作用が強く、時に重篤な副作用をもたらすことがあるため、その管理には専門的な知識が必要です。
腫瘍内科では、がん薬物療法に専門的な知識を持った医師が、がん薬物療法の必要な患者さんの診療にあたります。診療科の枠を越えた集学的治療や原発不明がん、希少がんなどの困難症例の薬物療法も行っています。
がんの遺伝子異常に基づいて、より効果の高い薬剤を選択するがんゲノム医療にも力を入れており、適応になる患者さんに対しては、保険診療になったがんゲノム遺伝子パネル検査を積極的に行っています。
また、治療方針決定のため、本人と家族の意向を尊重し、院内他科やコメディカルとも密接に連携して、最新のエビデンスに基づいた最も効果が期待できる治療法を選択します。がん性疼痛などの症状を有する患者さんに対しては、早期から積極的に症状緩和に努めます。他院からのセカンドオピニオンにも対応しており、患者さんに最適な治療が行えるようコーディネートします。
診療疾患
・食道がん ・胃がん ・大腸がん ・胆道がん
・肝がん ・膵がん ・悪性腹膜中皮腫
・神経内分泌腫瘍 ・甲状腺がん ・頭頸部がん
・卵巣がん(腹膜がん) ・原発不明がん
・性腺外胚細胞性腫瘍 ・悪性軟部腫瘍
・その他悪性腫瘍一般
得意分野
1 消化器がんなどの得意分野に加え、その他の固形腫瘍に対する抗がん剤治療にも対応しています。
2 診療科の枠を超えた集学的治療、原発不明がんなどの希少がんなど、困難症例の薬物療法にも力を入れています。
3 2019年12月からがんゲノム遺伝子パネル検査を開始し、遺伝子異常に基づいたがん治療を行っています。また、2020年4月からがんゲノム検査外来を開設し、院内外の患者さんにがんゲノム遺伝子パネル検査を実施しています。
2023年度診療実績
当院で実施したがんゲノム遺伝子パネル検査45例(2023/4-2024/3)
地域医療への協力
1 地域がん診療連携拠点病院として、がん診療の充実を図るため、治療進歩の著しい抗がん薬治療の充実を目的に、臓器横断的ながん診療を目指しています。
2 消化器疾患の診療のみならず、院内各科や地域医療機関と協力をしながら、がん患者さんに最適で安全な薬物療法を提供していきます。
学会、研究会への参加状況
西日本がん研究機構(WJOG)などの全国的規模の質の高い臨床研究に積極的に参加し、新たな治療開発に取り組んでいます。
施設基準・学会認定
日本臨床腫瘍学会認定研修施設 日本がん治療認定機構認定研修施設
現在登録中の臨床研究
1 根治的外科治療可能の結腸直腸癌を対象としたレジストリ研究(GALAXY試験)
2 血液循環腫瘍DNA陰性の高リスクStageⅡ及びStageⅢ結腸癌治癒切除例に対する術後補助化学療法としてのCAPOX療法と手術単独症例を比較するランダム下第Ⅲ相比較試験(VEGA試験)
3 血液透析中の消化器癌患者に対するFOLFOX療法の安全性と有効性に関する多施設共同臨床試験
4 未治療切除不能進行・再発胃癌に対するマイクロサテライト不安定性を評価する観察研究(WJOG13320GPS)詳細はこちら
5 切除不能大腸癌に対するトリフルリジン・チピラシル+ベバシズマブの従来法と隔週法の実用的ランダム化第Ⅲ相試験(PRABITAS)
ゲノム医療について
1 がんと遺伝子異常
がんは遺伝子の疾患であり、正常細胞に様々な遺伝子の異常が蓄積することで、がん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活化により、がん化に至ると考えられています。
2 分子標的薬
従来の抗がん薬の多くは、がん細胞だけでなく正常細胞も攻撃するため、重い副作用が起こることがあります。がん研究の進歩によりがん細胞の増殖や転移のメカニズムがわかってきました。細胞の増殖に関与する特定の分子を狙い撃ちにするのが分子標的薬で、正常細胞へのダメージが軽減することが期待され、様々な薬剤が開発されています。
3 がんゲノム医療
がんの遺伝子の異常に基づいて、より効果の高い治療薬を選択する、がんの個別化治療の1つです。
4 遺伝子パネル検査
「遺伝子パネル検査」とは、がん細胞に起きている遺伝子の異常を、1回で100以上を網羅的に調べ、最適な治療法を提案するための検査です。
国立がん研究センターで行った臨床試験では、遺伝子パネル検査(NCCオンコパネル)では、187例のうち59.4%の患者さんに何らかの遺伝子異常が見つかり、13.3%の患者さんに遺伝子異常に合った治療薬が投与できたと報告されています(Sunami K et.al. Cancer Science 2019 )。
2019年12月から、がん遺伝子パネル検査を開始し、遺伝子異常に基づいたがん治療を行っています。また、2020年4月からがんゲノム検査外来を開始し、院内外の患者さんにがん遺伝子パネル検査を実施しています。
当院で検査可能な遺伝子パネル検査
① OncoGuideTMNCC オンコパネルシステム(保険点数: 56,000点)
② FoundationOneR CDx がんゲノムプロファイル(保険点数: 56,000点)
③ FoundationOneR LiquidCDx がんゲノムプロファイル(保険点数: 56,000点)
④ Guardant360 (保険点数: 56,000点)
5 保険診療での遺伝子パネル検査の適応疾患
① 標準治療のない固形がんの患者(原発不明がんや肉腫などの稀少がん)
② 標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む。)
※自由診療の場合は、この限りではありません。
6 結果の説明
遺伝子パネル検査の結果は、エキスパートパネルと呼ばれる様々や分野の専門家集団による会議で議論され、最適な治療法を検討します。検討された結果は、主治医から患者さんに説明します。
7 遺伝性腫瘍
ほとんどのがんは遺伝するものではありませんが、一部のがんでは生まれ持った遺伝子の異常が原因になって発病する遺伝性腫瘍があります。遺伝子パネル検査をすることで、この遺伝性腫瘍を偶発的に発見してしまうことがあります。その際には、当院で遺伝カウンセリングを受けることができます。
8 結果に基づいた治療
遺伝子パネル検査を行っても実際に治療に結びつくのは、国と地域にもよりますが、10%以下と言われています。治験などに参加できない場合、治療は自由診療となり、高額な自己負担が発生する可能性があります。