核医学(RI検査)(受診される方向け)
RI検査室では、核医学検査(RI検査やシンチグラフィ・シンチとも呼ばれます)を行っています。
「核医学検査」とは、微量の放射線を出す放射性医薬品を体内に投与し、放射性医薬品が臓器や体内組織などに集まる様子を画像化する画像診断の一つです。核医学検査の特徴は、血流や代謝などの機能変化を画像情報として反映することができます。
多くの場合、検査用のベッドに20~30分間静かに横になっている間で、検査は終わります。これらは、患者さんにとって大変苦痛の少ない検査法です。放射性医薬品は静脈から注射するほかに、カプセルを飲んでいただくものがあります。
検査に関する疑問がありましたら、担当技師にお尋ねください。
RI検査室で行っている主な検査をご紹介します。
PET/CT検査について
・FDG-PET検査
癌細胞は正常な細胞と比べ、ブドウ糖を多く摂取します。そこで、ブドウ糖に放射性物質をくっつけて投与し、PET/CT装置で撮影することで、体内の癌細胞の位置がわかるのです。
この検査により、癌の大きさや広がり、転移の有無を調べます。放射性物質と言いましても、放射線を出しながら短時間で消失してしまうお薬です。体内に残ることはありませんし、安全な投与量に抑えていますので安心して検査をお受けください。
わからないことがありましたらRI室の診療放射線技師にお尋ねください。
(↑:肺癌、骨転移)
【検査を受けていただくにあたり注意していただきたいこと】
・予約時間の15分前までに必ず放射線科受付へお越しください。
・検査の5時間前から、食事や糖分の入った飲み物・菓子類の摂取はお控えください。
詳しくは検査予約時にお渡しする、検査予約票の注意事項によく目を通しておいてください。
【FDG-PET検査の流れ】
脳血流シンチグラフィ
脳の血流や働きを調べる検査です。例えば、認知症の場合、CTやMRIでは捉えにくい脳の血流を画像化します。この他、脳梗塞、脳出血などの脳血管障害、精神疾患、てんかんなどの脳の病気の診断、病状の評価、治療効果判定に役立ちます。
撮影した画像を基に、脳の血流低下部位を色付きで表示します。どの場所の血流が低下しているか見ることで認知症の早期診断に役立ちます。(↑:血流低下部位)
ドパミントランスポーターシンチグラフィ
体に震えが起こるパーキンソン病は、ドパミン神経と呼ばれる神経の変性・脱落が原因であるとされています。ドパミン神経の様子を見ることができるお薬を用いて、変性の程度を調べることができます。
正常(左)では細長く写りますが、異常(右)があれば点状に映ります
認知症には、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症などがあり、それぞれ特徴的な脳血流の異常がみられます。脳血流シンチグラフィやドパミントランスポーターシンチグラフィでは、下図のように疾患によって血流低下部位や薬剤の集積の程度が異なり認知症疾患の鑑別に役立ちます。
心筋血流シンチグラフィ
心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしますが、心臓自身も動くために血液を必要とします。心臓を動かすための血管(冠動脈)に動脈硬化があると、ここぞというときに心臓を動かすための血液が足らないために、胸の痛みなどの症状が出ます。そして、この血管が急に詰まると心筋梗塞になります。このような状態を未然に防ぐために、心臓にきちんと血液が流れているかを検査します。
負荷時と安静時の比較(↑:血流が低下しているところ)
骨シンチグラフィ
注射した放射性医薬品が、骨の代謝が盛んなところに集まる性質を利用して、骨のがんや骨の炎症、骨折の有無などを調べます。また、早期に異常を発見する事ができ、疲労骨折など通常のX線検査ではわかりにくい病変の診断に大変役立ちます。
お薬は全身の骨に集まります(↑:異常部位)。下腹部中央の黒い点は膀胱です。お薬は尿から排泄されるため、直前に排尿していただくことで腹部がきれいに撮像できます。右の方が癌の骨転移のある方です。
RI検査室ではこの他、甲状腺・肺・肝臓・腎臓・副腎など全身のさまざまな臓器に対して検査を行っています。
【検査を受けていただくにあたり注意していただきたいこと】
RI検査では、使用期限の短い放射性医薬品を用いるという特殊な検査です。そのため、やむを得ずキャンセルされる場合は、必ず前日までに連絡をお願いします。
お薬は他の患者さんに使用することができず、高価なお薬が無駄になってしまいます。その他、検査の種類毎に細かな注意事項がありますので予約票によく目を通しておいてください。