漏斗胸
前胸部の中心とおなかとの境界あたりがロート状に凹んでいる(陥凹している)状態を漏斗胸と呼びます。漏斗胸は、おおよそ1000人に1人程度の割合で起こり、男子に多いと言われています。ロート状にへこむ要因としては、前胸部正中にある胸骨という板状の骨と、肋骨と胸骨を接続している肋軟骨の変形の関与が挙げられます。変形の原因ははっきりと解っているわけではありません。成長期の日常の呼吸運動において胸郭を形成する骨のカゴ(肋骨・肋軟骨・胸骨)に慢性的にかかる圧力によりゆがみが生じるという考え方が主流です。変形が強度になると肺機能(肺活量)や心機能(心拍出量・弁膜症など)に影響が出ることもありますが、大多数の方は正常範囲です。
漏斗胸を治療するかどうかの判断材料には、CTによる陥凹度合いの評価と、肺活量や心臓超音波検査による機能的評価、及び美容的側面があります。それらと年齢を考慮に入れて総合して手術適応を決定します。
当科で行っているのはNUSS法という手術です。患者さんの体格に合わせたプレートを、陥凹している胸壁の胸骨の下に固定して持ち上げることによりへこみを矯正する方法です。プレートの留置は2年程度で、経過したら、手術的にプレートを抜去します。
胸壁の変形でお悩みの方は一度受診ください。