肺がん
肺にがんができた状態を肺がんと言います。肺を構成している細胞ががん化したものを「原発性肺がん」、ほかの臓器のがん細胞が肺に流れ着き、そこで発育したものは原発性肺癌と区別して「転移性肺腫瘍」と言います。
原発性肺がん
通常、肺がんと言えば、こちらの方を指します。元となった細胞により、大きく分けて、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんの4つの組織型に分けられます。
小細胞がんは、ほかの組織型と治療法が異なるため、小細胞がん以外のがんをまとめて、「非小細胞がん(Non-small cell lung cancer/NSCLC)」と呼ぶことがあります。
肺がんの病期
肺がんと診断された際に「どの程度がんが進んでいるか」を表すのが病期(ステージ)です。病期は、腫瘍本体の状態(T因子)、リンパ節への転移状態(N因子)、肺の外への転移状態(M因子)の3つを元に決められます。
→ 肺がん病期の詳しい説明はこちら
肺がんの治療
病期によって治療法が異なります。当院では週1回肺がんキャンサーボードを開催し、呼吸器内科・外科・放射線診断科・治療科の医師が集まって一人の患者さんの治療方針を決定しています。
非小細胞肺がんの場合、Ⅰ期Ⅱ期は手術療法、Ⅲ期は手術療法、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法を組み合わせる集学的治療を行います。Ⅳ期及び術後再発の場合は、原則手術療法の適応はなく、抗がん剤、対症的放射線療法を行います。
非小細胞肺がんの薬物治療は近年著しい進歩がみられ、遺伝子の変異やある種の細胞表面たんぱく質を調べることで効果的な薬剤を選択できる可能性が出てきており、個別化治療と呼ばれています。
小細胞肺がんの場合、Ⅰ期は手術療法を行うこともありますが、基本的に抗がん剤、放射線療法を行います。
肺がんの手術療法
肺がんの広がり具合によって、切除する範囲が異なります。通常のⅠ期Ⅱ期の肺がんでは、肺葉切除が基本術式となっています。
当院の手術術式は、内視鏡(胸腔鏡)を用いた術式が標準となっています。胸腔鏡手術では、術側の側胸部に、4cmの創が1つ、2cmの創が2つで、手術を行います。胸腔鏡手術が困難な場合は、20cm程度の創で肋骨と肋骨の間を切開し、手が入るスペースを確保して手術を行います(開胸手術)
また、当院では、胸腔鏡手術にロボットを組み合わせた、ロボット支援胸腔鏡手術(da Vinci手術)を積極的に取り入れています。
転移性肺腫瘍
肺以外の臓器でできたがんが肺へ転移してきたもので、「原発性肺がん」と区別して「転移性肺腫瘍」と言います。「○○がん肺転移」とも言います。
治療は、元の臓器のがんの治療に準じますが、肺や全身の状態によっては、肺転移を切除する手術を行うことがあります。この場合、転移巣とその周辺の正常肺を切り取る手術(部分切除)を胸腔鏡手術で行います。