肺がんの病期
肺がんと診断された際に,「どの程度がんが進んでいるか」を表すのが病期(ステージ)です。
病期は,腫瘍本体の状態(T因子),リンパ節への転移状態(N因子),肺の外への転移状態(M因子)の3つをもとに決められます。
病期を決定するため,CT,MRI,PET-CTなどの検査が行われます。
T因子
腫瘍本体の状態に応じてつけられます。主に大きさで決まりますが,他臓器への浸潤具合,無気肺・閉塞性肺炎の有無,副腫瘍結節の有無などでも変わります。
N因子
リンパ節への転移状態に応じてつけられます。腫瘍の所属リンパ節への転移の有無などによって変化します。
M因子
原発肺以外への転移の状態に応じてつけられます。対側肺や他臓器(脳,肝臓,副腎,骨など)への転移の有無,悪性胸水や胸膜播種の有無などによって決まります。
TNMの分類から表を使って病期を決定します。
T因子/腫瘍本体の状態
Tis | 上皮内癌(carcinoma in situ):肺野型の場合は,充実成分径0cmかつ病変全体径≦3cm |
T1 | 充実成分径≦3cm |
T1mi | 微小浸潤性腺癌:部分充実型を示し,充実成分径≦0.5cmかつ病変全体径≦3cm |
T1a | 充実成分径≦1cmかつTis・T1miに相当しない |
T1b | 充実成分径>1cmかつ≦2cm |
T1c | 充実成分径>2cmかつ≦3cm |
T2 |
充実成分径>3cmかつ≦5cm 主気管支浸潤,臓側胸膜浸潤,肺門まで連続する部分的または一側全体の無気肺・閉塞性肺炎 |
T2a | 充実成分径>3cmかつ≦4cm |
T2b | 充実成分径>4cmかつ≦5cm |
T3 |
充実成分径>5cmかつ≦7cm 壁側胸膜,胸壁,横隔神経,心膜への浸潤 同一葉内の不連続な副腫瘍結節 |
T4 |
充実成分径>7cm 横隔膜,縦隔,心臓,大血管,気管,反回神経,食道,椎体,気管分岐部への浸潤 同側の異なった肺葉内の副腫瘍結節 |
N因子/リンパ節転移
N1 | 同側気管支周囲,同側肺門,肺内リンパ節への転移 |
N2 | 同側縦隔または気管分岐部リンパ節への転移 |
N3 | 対側縦隔,対側肺門,前斜角筋,鎖骨上リンパ節転移 |
M因子/遠隔転移
M1 | 対側肺内の副腫瘍結節,胸膜または心膜の結節,悪性胸水,悪性心嚢水,遠隔転移 |
M1a | 対側肺内への副腫瘍結節,胸膜結節,悪性胸水(同側,対側),悪性心嚢水 |
M1b | 肺以外の一臓器への単発遠隔転移 |
M1c | 肺以外の一臓器または多臓器への多発遠隔転移 |